Intel Software Innovation Forum 講演

ハードウェアに価値を与える原動力はソフトウェア

インテルは、ソフトウェア開発者に向けた技術イベント「Intel Software Innovation Forum 2012」を東京で行った。その基調講演で、インテル代表取締役社長の吉田和正氏は、インテルがソフトウェアを重視する理由について述べ、米Intel デベロッパー・プログラム部門ディレクターのスコット・アペランド氏は、インテルが取り組むソフトウェア開発支援について具体的な内容を紹介した。

 吉田氏は、インテルが開発するCPUをはじめとするハードウェアで構成するプラットフォームに革新的な価値を作り出す原動力となるのはソフトウェアだと語る。インテルアーキテクチャは、PCとサーバを中心に展開していたが、プロセスルールの微細化によってサイズは小さくなり、低消費電力で動くようになった。このことで、小さいデバイスにも搭載できるようになり、新しい利用方法が可能になるが、それは、ハードウェアとソフトウェアの融合で新しい進化が可能になると、吉田氏は主張した。kn_isif_02

 また、多くのユーザーが1人で複数のデバイスを使うようになった現在では、従来のようにハードウェアの性能を重視する以上に、それぞれのデバイスがつながって連携し、そのことでユーザーが便利になることが重要で、そこに新しいビジネスチャンスがあると述べた。利用するデバイスは、従来のような据え置きタイプで家族が共有する性能重視から、ユーザーの1人1人がそれぞれに所有し、好きなときに好きな場所で利用できることが必要で、そのためには、優れた応答性と長いバッテリー駆動時間、安全に使えるセキュリティー、そして、所有したくなるようなデザインが必須となる。

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 インテルは、半導体を開発して提供するメーカーだが、チップに限らず、高性能で多機能、そして、省電力なプラットフォームを構築してきた。しかし、そのプラットフォームもソフトウェアがなければ使うことはできず、ソフトウェアによって、ハードウェアが持つ性能や機能をフルに引き出すことができ、そのことで、新しいサービスをユーザーに提供できると述べることで、吉田氏はソフトウェアの重要性を訴求した。

メーカーはUltrabookに一番いいものを入れてくる

 インテルでは、2003年に立ち上げたCentrinoブランドでモビリティーコンピューティングの進化に取り組んできたが、2012年には、Ultrabookのコンセプトを訴求している。吉田氏は、インテルがユーザーにUltrabookを訴求する理由として、「Ultrabookは、最新の技術を導入したデバイスで、メーカーも、その持つ技術の中で一番優れたものを入れてくる」と述べる。

 また、インテルアーキテクチャに対応したソフトウェア開発に投資するメリットとして、インテルアーキテクチャが、ノートPCからサーバに限らず、タブレットデバイスやスマートフォン、車といった多種多様なデバイスに搭載するので、それぞれのデバイスにおいて最適化するソフトウェアの提供の必要があり、それが、1つのビジネスチャンスとなるほか、1つのプログラムで複数のデバイスでも利用できるマルチプル・プラットフォームとスケーラブル・アーキテクチャに対応することもメリットとして挙げている。

 インテルは、ハードウェアを開発するシステムメーカーと、ソフトウェアベンダー、さらに、ユーザーにサービスを提供する通信事業者やプロバイダとの連携を促進して業界を活性化するとしており、その実例として、KDDIが7月31日に発表した、Intel Smart Connect Technologyに対応する「au Wi-Fi接続ツール」において、Ultrabookの普及がさらに進むと訴えた。

このように、ソフトウェア開発に向けた投資にもインテルは力をいれているが、その例として、Intel Software Innovation Forumも挙げ、そこでは、「インテル アーキテクチャー モバイル & IVI セッション」のほか、「Ultrabookの技術セッション」と「Ultrabook コンシューマー・ソリューションセッション」とモバイルコンピューティングとUltrabookに関する最新情報をソフトウェア開発者に提供することを示した。このほかにも、ソフトウェア開発者支援活動として、Ultrabookの性能と特徴を生かしたアプリケーションを一般から募集する「Ultrabook向けアプリケーション・コンテスト」や、世界的規模で参加者が技術情報を共有できる開発者コミュニティーを紹介した。

UltrabookとWindows 8はPCを"再発明"する

「インテルアーキテクチャは、すべてのデバイスに搭載される。しかし、デバイスに価値を与えるのはソフトウェアだ」と語るアペランド氏は、インテルのソフトウェアとサービスを提供する事業部の取り組みとして、「安全、かつ、最適で魅力的なアプリケーションとサービスを提供」「インテル・テクノロジーの革新的な機能を活用」「人々の生活を豊かにして、いつでも、どこでもあらゆるデバイスを接続できるようにする」という項目を掲げた。そのために、インテルでは自社開発だけでなく、McAfee、WIND RIVER、havokなどのソフトウェアベンダーの買収などを進める一方で、ほかのソフトウェアベンダーとの協業や、標準化規格の策定にも積極的に参加していることを紹介した。

アペランド氏は、Ultrabook、タブレットデバイス、Windows 8が、ユーザーのPC利用を"再発明"すると述べ、再発明のために必要となる新しいプラットフォームの実現には、ソフトウェアが中心的な役割を果たし、そのソフトウェア開発においてインテルが連携することで、アプリケーションの最適化と迅速な開発が可能になるだけでなく、アプリケーションの提供でインテルのマーケティングプログラムが利用できるとした。

 アペランド氏は、来場したソフトウェア開発者にUltrabookの特徴を説明したうえで、今後登場するUltrabookでは、タッチ機能が主要な機能としてユーザーから認識され、インテルはそのためにリソースを投入することを明らかにした。インテルの予測では、2012年第4四半期に登場するUltrabookでは、約30モデルがタッチ機能を搭載する予定(コンバーチブルタイプも含む)だが、2013年には、タッチ機能に対応するUltrabookは台数にして最大で10倍になるという。アペランド氏は、インテルが行ったユーザー調査において、クラムシェルタイプのノートPCにタッチパネルを搭載した場合、ユーザーの多くは自然にディスプレイをタッチして操作することを確認できたと説明した。

 さらに、インテルでは、Ultrabookに「電子コンパス」「加速度計」「ジャイロスコープ」「GPS」「照度センサー」を搭載するとともに、Windows 8で用意するセンサープログラミングは、Ultrabookとタブレットデバイスで共通し、Microsoftが用意するセンサー用APIを利用すると、インテルのプラットフォームで統一したセンサーアクセスが可能であるなど、ソフトウェア開発において利便性が高いことも紹介した。

Androidもインテルアーキテクチャに最適化する

 アペランド氏は、インテルアーキテクチャがPCの枠を超えて拡大する可能性にも触れ、インターネットに接続できるユーザーもデバイスも増加する今後は、PCの枠を超えて、タブレットデバイスやスマートフォン、テレビや自動車、デジタルサイネージといったさまざまなデバイスによる新しいコンピューティングが求められるとし、そのためには、ハードウェアとソフトウェアの高度な連携が必要と述べた。アペランド氏は、その一例として、インテルとGoogleの協業による「Android on IA」を取り上げている。この協業では、AndroidをAtom向けに最適化し、Android SDKとNDKでx86アーキテクチャ向けネイティブアプリケーション開発を可能にするという。

また、吉田氏が紹介したインテルが取り組むソフトウェア開発者支援の取り組みについて、より具体的な内容を説明している。Ultrabook向けアプリケーションコンテストにおいては、2回に分けた応募期間(第1回目は7月31日から9月30日、第2回目は10月1日から11月30日)のそれぞれで、第1回目はUltabook向けのアプリケーション一般を募集するが、第2回目ではUltrabookでタッチ機能を利用することを意識したアプリケーションを募集することを明らかにしている。

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 さらに、世界規模でソフトウェア開発者が技術情報を共有するオンラインコミュニティーでは、インテルの技術情報を、ホワイトペーパー、動画コンテンツ、コミュニティーの形で共有する「インテル ソフトウェア・ネットワーク」を紹介した。年間で900万ユーザーが利用するこのサービスでは、特定のテーマについて質疑応答、討論を行えるコミュニティーを設けている。特定テーマには、「Ultrabook」「Android」「ビジュアル・コンピューティング・ソース」「サーバ」「vPro」があり、Ultrabookの開発者コミュニティーでは、技術情報や開発ツール、メディアに掲載した記事などを共有するほか、開発ツール、SDKなどのダウンロード、Intle AppUPセンターを利用したアプリケーション販売などに対応する。

 基調講演の最後で、アペランド氏はさまざまなデバイスで利用できるクロスプラットフォーム開発におけるHTML 5の取り組みも紹介した。インテルでは、車載デバイス、モバイルデバイス、テレビなどの"Medfield"(開発コード名)搭載デバイスでHTML5を利用するためのモバイルOSとして、TizenをSamsungとの協業で用意するほか、Googleと共同でChrome OSをインテルプラットフォーム向けに最適化し、標準規格団体W3Cに参加して規格の定義への参画、そして、クロスプラットフォームツールと開発環境を用意することで、HTML5とクロスプラットフォームをサポートすると説明した。